2009年8月7日金曜日

座談会「灘チャレンジ2009 風刺劇 "ちがったっていいじゃん――日本に暮らしている 外国にルーツを持つ子ども達――"を終えて」(3)

座談会「灘チャレンジ2009 風刺劇 "ちがったっていいじゃん――日本に暮らしている 外国にルーツを持つ子ども達――"を終えて」(3)

■台本のあらまし

 日本生まれのベトナム人中学生の男の子、ミン(日本名:陽一)は、自分の「ベトナム」というルーツに地震が持てず、民族名の「ミン」に違和感を持っている。日本人中学生とつるんで、日本人と同じになろうとする彼はある日、仲間とゲームセンターのガラスを割ってしまう。

 1人逃げ遅れたミンは、店主に捕まって名前を尋ねられる。店主はミンという名前から少年がベトナム人だと推測すると、「ベトナム人=外国人=犯罪者」のイメージから、ベトナム人全員を犯罪者扱いするような態度に出る。ミンは、こうした経験から、本名を隠して、日本名の「陽一」として生きていくことを決意する。

 一方、主人公の萌(日本人)は大学の入学式のあと、生まれて初めて「外国人」の金紗栄(キム・サヨン)と出会う。ルーツに関する会話の中で、外国人である紗栄に対して自分なりの配慮をしたつもりが、逆に気まずい空気になってしまう。このことを気にした萌は、在日コリアンの歴史を調べ、数日後の帰り道、紗栄ともう一度話しをしてわかり合う。そのとき、ゲームセンターから大きな声が聞こえてきた。萌と紗栄は、ゲーム店の店主が、2年前に来日したベトナム人中学生の男の子、トゥアンを店から追い出す場面に遭遇する。

 トゥアンは、ミン(陽一)と共に外国にルーツを持つ子どもたちが学校の宿題や日本語の勉強をするための「学習支援」に通っており、紗栄はそこでボランティアスタッフをしていたため、2人は知り合いだったのだ。萌は、紗栄の誘いで一緒に学習支援に行くことにする。そこで萌は、日系ブラジル人の小学生、アケミにも出会う。

 ある日萌は、大学の先輩と一緒に、学習支援の子どもたちが参加するお祭りに遊びに来た。ベトナム料理の屋台を出していた子どもたちは、萌の先輩に自己紹介しながら、将来の夢を語る。外国にルーツを持つ子どもたちの「不安だけど、いろんな人の支えがあって、これからもこの場所で生きていくんだ!」という台詞で劇は幕を閉じる。

 萌は、大学や学習支援を通じて、日本に来た時期・経緯・国が異なる子どもたちと出会い、彼・彼女らの家庭の経済状況や、周りの大人たちの教育に対する理解が異なることに気づいていく。外国にルーツを持つ子どもたちが、胸を張って民族名を名乗れる、彼らが夢や希望を持てる社会とは一体何?みなさんも萌と一緒に考えてみませんか?
(灘チャレンジ2009パンフレット 21pより抜粋・加筆)


▲当日会場で配布された風刺劇資料集。マンガは役者の山中さんが担当した。






・・・・・・・・・・・・・・完